浄土宗 伝授山 長応院


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第5回 生きる事

「生きる」をどのようにお感じでしょうか。「生かさせて頂いている」とお感じの方は素晴らしいと思いますが、「死ぬのが怖いから何となく生きている」はどう対処したら良いのでしょうか。「いずれ死ぬのだから今を謳歌する」と生きている人はまだしも、問題は、「仕方なく生きている」と言う事です。生きるは、ご縁(因縁)です。これに過ぎません。生を受ける事自体、縁です。自我を自己形成の中に勝手につくっているに過ぎません。今生きていると言う現実、これ以上のものはありません。それが仏教の解釈です。苦楽を受けている我身これが生です。受けた生を自己が価値づける事は愚かな事であります。法然上人の「自然法爾」の解釈がそこにあると思います。ご縁に逆らう事無く受け身に捉える事が出来たら何と有り難く素晴らしい事でしょうか。「人間は死ぬから生きる事が出来る」とはとある禅僧の言葉ですが、正に私達は悪しき執着にとらわれなく有り難く生を全うしたいものであり、そこに念仏の功徳があるのだと思います。私達は法に無明です。時に静寂に心落ち着けて一年を振り返り少しでも反省をしたいものです。

2010年12月10日